保険給付とは
健康保険では、業務外で発生した病気やケガ、または、出産および死亡した場合に定められた各種の給付金を支給します。これらの、診療を提供したり給付金を支給することを「保険給付」といいます。
- POINT
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- 保険給付は業務外の病気やケガのときに支給される、健康保険の給付です。
- 給付の対象となるのは、あらかじめ国によって保険の適用が認められている療養に限られます。
業務外の病気やケガに支払います
業務外の原因で病気やケガをしたときに、健康保険を扱う病院や診療所では、次のような療養を受けることができます。 (このことを療養の給付といいます)
療養の給付の範囲
- 診察・検査
身体に異常があれば、いつでも健康保険で医師の診察や治療に必要な検査が受けられます。 - 薬・治療材料
治療に必要な薬は、医療保険の対象となる医薬品の薬価基準に掲載されているものに限り支給されます。 - 処置・手術
注射や処置・手術はもちろん、放射線療法、療養指導なども受けられます。 - 入院・看護
入院中の食事・生活療養については1食・1日につき、決められた額を負担します。特別室(個室など)を希望するときは差額室料の負担が必要です。 - 在宅療養・訪問看護
医師が認めた人が安心して在宅で療養できるように、医師による訪問診療が受けられます。
また、訪問看護ステーションから派遣された看護師による訪問看護なども受けられます。
仕事中や通勤途中のケガは労災保険の扱いに
健康保険は、業務外の病気やケガに対して給付を行うもので、仕事中や通勤途中でケガをしたときは労災保険の扱いになります。重複して給付を受けることはできませんので、ご注意ください。
- ※業務上の負傷等でも労災保険の給付対象とならない場合は、法人(5人未満の法人除く)の役員としての業務を除き、健康保険の給付対象となります。
現物給付と現金給付
保険給付を行う方法には、病気やケガをした場合に、これを治すために医療そのものを給付する方法と、治療にかかった費用を給付する方法との二つの方法があります。医療を給付する方法を「現物給付」、現金を給付する方法を「現金給付」と呼びます。
健康保険でかかれない場合があります
健康保険の給付の対象となるのは、治療方法として安全性や有効性が認められ、あらかじめ国によって保険の適用が認められている療養に限られます。
健康保険が使えないとき | 健康保険が使えるとき |
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仕事や日常生活にさしさわりのないソバカス、アザ、ニキビ、ホクロ、わきがなど | 治療を必要とする症状があるもの |
回復の見込みがない近視、遠視、乱視、斜視など | 視力に変調があって保険医にみてもらったときの診察、検査、眼鏡の処方せん |
美容のための整形手術 | ケガの処置のための整形手術 |
健康診断、生活習慣病検査、人間ドック | 診察の結果、治療が必要と認められた場合の治療 |
予防注射、予防内服 | 感染している可能性がある場合の破傷風の予防注射 |
正常な妊娠・出産 | 妊娠高血圧症候群、異常出産など、治療する必要があるもの 不妊症の治療(年齢、治療内容等による制限あり) |
経済的理由による人工妊娠中絶 | 経済的理由による場合以外の母体保護法に基づく人工妊娠中絶 |
保険給付を制限されるときがあります
業務外の病気やケガであっても、次のような場合には保険給付が制限されます。
全部を制限 (埋葬料以外) |
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全部または 一部を制限 |
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一部を制限 |
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- ※少年院や刑事施設・留置場などに入っている場合も、公費で療養の給付が受けられることなどから保険給付が行われません。
医療費支払いのしくみ
療養にあたって健康保険を使った場合、医療機関は健康保険組合が負担する分の治療費を1ヵ月ごとにまとめて請求します。その際、全国すべての医療機関と健康保険組合がそれぞれに請求や支払いを行うと、大変繁雑な作業となります。
そこで、医療費の請求および支払いは、社会保険診療報酬支払基金等の審査支払機関を通じて行われます。このため健康保険組合に医療費が請求されるのは、おおよそ2ヵ月後となり、健康保険からみなさんに給付金が支給される場合なども、診療月の4ヵ月後以降に行われることになります。
減額査定通知について
受診された医療機関等の窓口で支払われた自己負担額(2割または3割)が、社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」)で審査した結果、1万円以上の過払いが生じる可能性が判明した場合、当組合から書面にて「医療費の減額査定について(お知らせ)」を送付しています。
「医療費の減額査定について」の通知が届いたら
書面に記載されている医療機関等へ直接申し出をすることにより、過払い相当額が返還される可能性があります。
ただし、診療内容や再審査で正当な医療行為であったと認められる等、返還されない場合もあります。医療機関によって対応が異なりますので、該当医療機関に直接お問合せください。
また、返還の意思がある医療機関等であっても、支払基金に対して再審査の申し出等をしている場合には、直ちに返還されないことがあります。
なお、被保険者の方と医療機関等との相談に当組合が介入することはできません。
減額査定とは
業務外の病気やケガで受診されたとき、皆さまは医療機関等の窓口に保険証等を提示して、医療費の一部(2割または3割)を自己負担しています。医療機関等は残りの医療費(7割または8割)を、支払基金を経て健保組合に請求します。健保組合では、その請求(レセプト)に間違いがないかを確認したうえで、支払基金を通じて医療機関等に医療費(7割または8割)を支払っております。
支払基金は、医療機関等から提出された請求(レセプト)の記載内容の誤りや、病名に対する診療内容や投薬が適正であるかを審査し、その内容に誤りがあった場合は訂正(減額)し、健保組合に請求します。これを「減額査定」といいます。